明日にならなければどうにもならないことなのに、気になってしかたがない。この気になっているのが時間の無駄だ、と思っても、心配でしかたない・・・というような人も、いつまでも「オフ」にならない人。いつも「オン」になっちゃう人。
時間に追われるということは、いつも交感神経が過剰に興奮しているということだから、ストレスが癒やされることがなくなってしまう。たまる一方になってしまいます。
そういう強迫的な傾向も日本人に割と特有なんですね。日本では、そういう性格というのは「よし」とされてきたんです。農耕民族的な社会の中では、そういうふうに正確に、几帳面に、自然に合わせて毎日畑を耕して、毎日休みなくというのがいいわけだから。そういう几帳面さが日本には染みついているところがあって、ストレスを抱えやすいんです。
日本の中では、沖縄のようなところは、カメルーンに似ていて、沖縄タイムという有名な言葉があるように、いつと約束しても、そのときには始まらない。「始まらない」ということの豊かさですよ。これが人生を楽しむことになる。
やはり暑い国の人のほうが時間にルーズで、寒い国の人のほうが、そういうのにきっちりしていますよね。
その理由としていちばん大きいのは、暑いところは、黙っていても飢え死にしない。天然に実っているバナナでも食べていれば、極端な言い方だけれど、収入ゼロでも生きていけます。そういう中で生きている人はそんなに厳しく時間を守らなくても、生きていける。飢え死にすることはないから、死ぬことはないわけ。
生きていく上で、時間通りじゃない豊かさを味わえるのはいつ頃でしょうか。多分、若者の時代と年をとって引退してからしかないでしょう。その贅沢さを忘れないでください。
青年〜中年以降の人たちには働く時間は限られているので正確に時間を守って生きるしかないのです。
残念ながら時間に縛られてしまう中高年の人は、とにかくオンとオフの切り替えを忘れないでください。会社が終わってからも会社の人と酒を飲んで会社の話をするなんて、愚の骨頂です。
この限りある無駄に過ごせる時間を貴重に思ってください。一時間〜二時間の時間のズレなど気にしないで済む。ゆったりとした永遠の時と一体化する。こんなに解放されるときはないでしょう。
院長 高橋龍太郎著書 『人生にはしなくてもいいことがいっぱいある』より抜粋