毎日人間というのは同じ道を通って駅に行き、同じ電車の同じ車両に乗って会社に行く、と。それを繰り返していないで、そういう中で何か刺激を与えていかないといけません。
やはり、毎日同じことを繰り返していると、「このままでいいのかな」とふと思ったりしますよね。それはまさに脳が「たまには別のことをしてくれよ、自分は面白くないよ」と言っているということです。サインなんですね。
だとすれば、いろんな形の刺激でグルッと、ちょうど漬物のぬかみそをグルッとひっくり返すような感じで、脳を動かしてあげることが必要なんじゃない?それは、別の世界につながっていく。
子どもたちの世界と同じことです。子どもたちがあんなにはしゃいで、あんなに動き回っているのは、毎日同じことを飽きないでやっているように見えて、子どもたちにとっては毎日違うものに見えるんです。 脳もそのときに爆発的にネットワークを伸ばしているんです。同じことをやっているように見えても、子どもたちはまったく違う刺激を受けている。
それと同じようなものにしてあげれば、誰だって退屈しないし、楽しいんです。
成長するということは、一方で安定していくということだから、ある意味で守りに入ってしまうことはしょうがないと思うけど、安定を求めるために、喜び、楽しみを失ってしまうということとは違います。そこをどうやったら子どもの頃の喜びに立ち返るか、ということが大事なんです。
例えば、おやじギャグというのがあるでしょう。「今日の会長はカイチョウ。機嫌いいよ」なんて言って、周りのOLのシラケを誘ってしまうような。でも、あの言葉の一つひとつにからみついていく、中年男性のエネルギーは見習うべきだと思います。
言葉ひとつひとつの表現の差に、あんな喜ぶ姿は、ほとんど幼児が言葉遊びを楽しんでいる姿と同じですね。人生を楽しむって、そういうことではないでしょうか。「どうやって子どもの頃に戻るか」なんです。
院長 高橋龍太郎著書 『人生にはしなくてもいいことがいっぱいある』より抜粋
タカハシクリニック 院長 高橋龍太郎