職場で同僚が忙しそうにしていると、つい自分もつられて、一心不乱に仕事の取り組み、あっという間に仕上げてしまった・・・なんていうことは、ないようでいて意外とあるものです。ふと気づいたら無我夢中になっていた、なんてね。
それと同じように、上司が動揺すると部下も落ち着きをなくし、仕事が手につかなくなる、ということが実際によく起きて、問題になっています。
「あの部長でさえ顔色を変えているのだから、よほど大変なことが起きたに違いない」と、部下は不安になって焦ってしまうのです。
人間は人の間と書きますね。人は人ひとりで成り立っていない。人と人の間に人間は成立している、という意味なんです。
部長と部下の間に存在している微妙な空気のなかに、その会社の人間たちが存在しているんですね。
ですから、部長が顔色を変えると、その部下との間に存在している人間が動き始める。動揺や緊張がその場、人と人の間を支配し、みんなが「いっぱいいっぱい」になる。
そうだとすると、誰がその場のいっぱいいっぱいを解いてあげないといけません。
もちろん部長本人が、自分からいっぱいいっぱいを解けるようなリラックス法を身につけていれば問題ないのですが、真面目な部長に限ってその場の緊張を高めるだけということがおうおうにして多いものです。
そんなときは、誰かが道化役をかってでて、
「部長、そんなにテンパってどうしたんですか」
「みんな気持ちをラクにしましょう。ハイ、ラジオ体操第一!ジャンジャカジャジャン!」
等と相の手を入れるくらいの職場が理想的な職場だといえますね。
道化役、トリックスターは何も宴会芸だけ必要とされるのではなくて、こんなときにこそ出番なのです。
「いっぱいいっぱい」にはユーモアで立ち向かう、これも立派な対策といえます。
周囲の影響を受けて、自分までドタバタする必要はないのにドタバタしてしまう、なんていうことのないようにしたいものです。
院長 高橋龍太郎著書『仕事も人間関係も「いっぱいいっぱい」にならない方法』より抜粋