2016.02.25更新

「歌は世につれ、世は歌につれ」は昭和の歌謡ショーの定番の決まり文句ですが、これを病におきかえて、「病は世につれ、世は病につれ」とすると私の精神科の臨床現場を端的にあらわにしているものになります。

 

30年前は統合失調症が時代を象徴した病でした。20年前はうつ病、10年前はパーソナリティ障害でした。最近5年は双極性障害、そして最近圧倒的に多いのが発達障害。なかでもADHD(注意欠如多動症)の問い合わせが増えています。

 

自分でネットで調べてそう思った人や、会社の人に言われるまで気付かない人まで様々ですが、「スケジュールを忘れてしまう」「同時進行の仕事がうまく割りふれない」「よく朝寝坊をして遅刻する」「部屋が片付かない」「落着きがない」「集中できない」等訴えは多彩です。


最新のDSM-5(精神疾患の分類と診断の手引、アメリカ精神医学会による)による診断基準は次のとおり、以下のうち6つの症状があれば注意欠如症があることになります。

 

 ⅰ 細部を見落す
 ⅱ 課題への不注意
 ⅲ 聞いていないような態度
 ⅳ 課題を達成できない
 ⅴ 課題を計画的にできない
 ⅵ 持続的に精神活動を要する課題の回避
 ⅶ しばしば課題に必要なものを失くす
 ⅷ 容易に気が変わる
 ⅸ しばしば忘れ易い

 

以下のうち6つが存在すれば多動症があることになります。

 

 ⅰ 落ち着きのなさ
 ⅱ 席を離れる
 ⅲ 走る 高いところへ登る
 ⅳ 静かにしていられない
 ⅴ 過活動
 ⅵ しゃべりすぎる
 ⅶ 早く答えを言ってしまう
 ⅷ 順番を待つことが困難
 ⅸ 割り込みや侵入

 

チェックしてみてはいかがでしょうか。注意欠如と多動は両方が合併するケースもあれば他方だけのこともあります。


注意欠如多動症は、「小さい時から落着きのない子供だった」と症状を自覚しているケースもあれば、本人が自覚しないまま過ごしてくることも多い病といわれます。学生時代は試験科目がひとつひとつバラバラですから、それに集中すればこなせる事が多いのです。ところが実社会に入ると同時進行する仕事ばかりで、一気にパニックになってしまいそれで初めて病気と分かるケースも多いのです。他にも「よく転ぶ」「他の人に比べて一部の感覚が過敏になりすぎる」等の症状があります。

 

ここ10年で5倍以上にADHD(注意欠如多動症)の患者さんが増えた背景は、高齢出産が増えた、環境のホルモン汚染の問題、人工添加物が増えすぎた、ゲームばかりやって子供遊びがなくなった、少子化もあるのでは、といろいろ議論があります。しかし幸いなことにこのADHD(注意欠如多動症)は新しい薬が使用可能になっており、ある程度は治療可能な病なのです。薬を使うことで「今まで混乱していた頭がまとまるようになってきた」「朝ちゃんと起きられるようになってきた」「仕事もスムーズに運べるようになった」等、早期に回復を実感する方が沢山いらっしゃいます。心あたりの方は是非当院へお越しください。

(ADHDは以前は注意欠陥多動性障害と言われていましたが、最近は注意欠如多動症とよりマイルドな呼び方に変わってきました)

 

医療法人社団こころの会理事長・タカハシクリニック院長 高橋龍太郎

投稿者: 医療法人社団こころの会グループ タカハシクリニック

2015.05.22更新

 最近はうつ病圏の患者さんがとても増えています。うつ病圏といっても抑うつ気分、意欲減退、集中力低下、自責感などを訴える典型的なものばかりではなく、不眠、食欲不振のみ訴える軽いものから、吐気、頭痛、めまい等の訴えを主とする身体表現性障害と診断されるもの。
あるいは職場でのトラブルなどが前景になって不安、焦燥、情緒不安定になったりする適応障害など様々なレベルがあります。もちろん前回お知らせした双極性障害Ⅰ型(躁うつ病)、双極性障害Ⅱ型によるうつ状態も忘れてはいけません。

 

 当院に来院すると先ず臨床心理士や精神保健福祉士による詳細な病歴をとることになります。その病歴を参考に主治医が更に詳しく病気の背景を探っていきますが、その際重要なのは単極性のうつ病なのか、双極性のうつ病なのかを見極めることです。双極性障害のうつ状態に漫然と抗うつ剤を出し続けると、当初に効いたように見えてもなかなか回復がはかれなかったり、下手をすると悪化したりすることさえあります。(当院にきて双極性障害Ⅱと診断され直して、回復していかれた方はもう何十人もいらっしゃいます)

 

 次にHAMD(Hamilton Depression Test)という世界で使われるうつ病の標準テストを行ってもらいます。当院では専門の医師がテストを行っているので信頼性が高いものになっています。このテストの結果は休職、復職を決める時の基準となります。
HAMDが概ね10以下の場合(軽いうつ状態)は、多くの場合治療は必要ですが通勤は可能であるとし、しばらく1~2週に1回の通院をして頂くことになります。その時にわたされるのは、認知行動療法プログラムの案内。これは週末土曜日に行われる、うつや不安障害の心理療法のプログラム。
このプログラムは、午前中は休職明けの人達のフォローアップをかねたグループミーティングと午後のプログラム(サタデイ・アフタヌーン・ケア)に別れていますが、新たに治療にいらっしゃる皆様には午後のプログラムが重要となります。
認知行動療法は、初期のうつ病の方々には服薬と同じくらい効果的だと英国等でも認められている位お薬と並んで重要なものです。座学が半分ミーティング半分で計3時間になります。保険診療でこれだけ充実したプログラムをもっているところは他にないと思います。

 

 そして、HAMDが10以上(うつ状態の可能性)の人は休職に入る人もいますし、休職に入らず治療だけを行う人もいますが休まなくても必要と思われる人には、診断書を書いて残業規制などをかけることもできます。HAMDが10以上の人で必要な人には行動表を渡します。そこには毎日の起床、就眠時間、残業の有無、飲酒の有無、趣味、ネット、TV時間等を記入してもらい1~2週間に1回の診察時に主治医とそれをチェックし、よりよい治療をするための重要な資料にしてもらいます。

 

 新しい抗うつ剤の治験をする患者さんにはHAMD 17点以上が必要条件となります。ですからそれがほぼうつ病の基準になっていきますが、この点以上になった場合、多くの人が休職をすることになります。なぜならうつ病の最良の治療は静養だからです。休職といっても1~2週間休むとよくなる人もいますし、半年ぐらい休む人がいますが大体平均は3ヶ月ぐらいでしょうか。この場合生活が不規則になりがちですから、薬、行動表、認知行動療法の3本柱をきちんと守ってもらいます。
なかでも規則正しく服薬してもらうことと、起床時間と就眠時間を乱れないようにすることはとても大切なことです。

 

 休職が長引きそうな方や毎日家にいるだけではかえって不安になってしまう人には、リワークをお勧めしています。これは原則3ヶ月以上のプログラムですが、資料をご覧になると分かるとおり毎日クリニックに集まり、さまざまなプラグラムをこなしてもらうものです。
現在ではこのリワークプログラムは長期休職者には必須のプログラムとされており、今全国に普及しつつあるところです。
このリワークプログラムはとてもしっかりしたもので、ここの卒業生に再休職になった人は殆どいません。参考までにCBTとリワークの内容をあげておきます。

 

 うつ病はこわいものでもなんでもありません。合理的な計画できっちり治療すれば、必ず治るものです。ぜひ当院をお訪ねください。

 

 Hamilton Depression Test


★上記の表は一般的な基準であり、病状には個人差があります。各人の状態に合わせて治療方法を考えて行きます。

 


医療法人社団こころの会理事長・タカハシクリニック院長 高橋龍太郎

 

>>認知行動療法による「サタデイ・アフタヌーン・ケア」のご案内

>>目黒駅前メンタルクリニック「リワーク・就労サポートデイケア」のご案内

 

 

投稿者: 医療法人社団こころの会グループ タカハシクリニック

2014.09.09更新

うつ治療の長期化

最近、初診の患者さんの相談で目立っているものがある。
「何年にもわたって、うつの治療をしているけどなかなかよくならない」というものだ。一時期はよくなるものの、長続きせず、診療所を転々としてしまったり、あまりよくなった感じはしないが主治医を代えるのはよくないと思って5年きた、これでいいのだろうかと心配になっているケース等々いろいろだが、問題はうつ治療の長期化である。


 過去10年新しい抗うつ剤の使用が普及して、不安障害や適応障害、うつ病圏の患者さんがあまり負荷なく治療できるようになった。でもその一方で、うつっぽければ抗うつ剤を使っていれば大丈夫という、荒っぽい治療も目立つようになってきている。


 うつの治療が長引いていたり、抗うつ剤が一時的に効くけれど長続きしなかったり、再発を繰り返すうつのようなケースは、どこかでセカンドオピニオンを受けたほうがいいかも知れない。


 なぜなら、そういう場合は、単なるうつ病ではなく双極性障害のうつ病の可能性が高いからだ。双極性障害というと躁うつ病と思われる人がいるかも知れないが、それは双極性Ⅰ型のことで、この場合は双極性Ⅱ型ということになる。殆どがうつの状態で、時々短く躁的なエピソードがあるが、本人はそれをよくなった時と感じるものの長続きしないため、うつだけ続くと主治医には伝えてしまう。また、こういうケースでは不安障害の合併もよくある。


 そうすると抗うつ剤だけの治療が長期化するが、一番困ったことは双極性Ⅱ型の第一選択薬が気分安定剤ということだ。リーマスやバレリン、ラミクタールを主に使わないで抗うつ剤だけを使用すると治療が長引いたり、なかなか良くならないどころか悪化するケースもある。


 治療が長期化しているうつや不安障害を合併しているうつの方は治療方針を見直すのも大切なことだ。

 

医療法人こころの会理事長・タカハシクリニック院長 高橋龍太郎

        

投稿者: 医療法人社団こころの会グループ タカハシクリニック

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